せどり業者や仲介業者のビジネスモデルが終わりを迎えている理由と根拠  AliExpress、Temu、Sheinの直販ビジネスモデルが世界を圧巻

2024年の現在、AliExpress、Temu、Sheinなどの中国発の巨大な直販・直送プラットフォームが日本国内の検索エンジンにかかってきた事で、一気にEコマース市場の状況が激変し始めています。昨年の2023年時点では、特定のキーワード(例: フィギュア 天然石 ジュエリー 雑貨 その他多数キーワード等)で商品を検索した際、これら中国勢通販サイトが日本国内の検索エンジンに表示される頻度はそこまで多くはありませんでした。

しかし2024年初旬より様々な検索ワードで検査をかけたところ、ほとんどのキーワードで中国大手通販サイトの検索がヒットし上位に表示されるようになっております。これは中国大手通販業界自体が多くの広告を投入し始めている状況でもあり、これまでのアマゾンや楽天通販などで存立してきた日本のB2Cマーケットに入り込み、勢力図が徐々に変わって行っている過程とも言えます。

これまで せどり業や輸入中間業者は海外から安く仕入れた商品をオンラインで販売し、差額で利益を得るビジネスモデルを取っていましたが、国内の検索エンジンに中国から直送される大手サイトが多く表示されて来た事により、既に仲介ビジネス自体が終焉を迎えつつある状況とも捉えられます。

AliExpressを始めTemuやSheinなどの企業は、革新的なビジネスモデルと圧倒的なコストパフォーマンスで、世界中の消費者に直接アプローチしています。彼らは、製造から販売までを一貫して行うことで中間マージンを大幅に削減し、驚くほどの低価格で商品を提供しています。このため、従来のせどり業者が介在する余地は急速に縮小しているのです。

これらのプラットフォームは、強力な物流ネットワークを背景に、世界中どこへでも商品を直送し消費者は、自宅にいながらにして、海外の商品を手軽に購入できる時代となりました。さらに、Sheinのような企業はソーシャルメディアを駆使し、直接消費者との関係を築いています。その結果、中間業者を必要としない直販モデルが成功を収めているのです。

このような市場環境の変化は、せどり業者や中間業者にとってはとても厳しい現実です。従来の安く仕入れて高く売るという単純なビジネスモデルから脱却し、もっと付加価値を提供出来る限定品や希少性の高い商品を扱う、特定のニッチ市場に特化するなどの戦略が求められていますが、現状はとても厳しいものとなりそうです。

理由としてはSheinは、常時約600,000種類のファッションから様々な日用雑貨を取り扱っており、AliExpressは、約1億種類の商品を取り扱っています。この巨大な商品数には、様々なカテゴリーの商品が含まれており、世界中の消費者に幅広い商品を提供しており、Temuもまた約30の主要カテゴリーと250以上のサブカテゴリーにまたがる数百万種類の商品を取り扱っています。これに対しこれまで日本国内の小売業界を牽引してきたアマゾンジャパンでは、約1200万種類の商品が取り扱われています。

Shein、AliExpress、Temu、そしてアマゾンジャパンの各プラットフォームにおける取り扱い商品総数を表したグラフです。AliExpressが圧倒的な商品数を持っており、他のプラットフォームとの間に顕著な差が見られます。

中国大手EC各社の販売戦略

Sheinの急成長とそのグローバル市場における影響力

Sheinは、中国発のファストファッションブランドとして、短期間で世界市場におけるその存在感を急速に拡大させました。特に、アメリカ市場での顕著な成果は、他の小売業者やファッションブランドに警鐘を鳴らすに足るものです。2021年には、米国市場だけで約31億ドルの売上を記録し、同年のアプリダウンロード数ではAmazonを上回るなど、その勢いは止まることを知りません。

Sheinの成功の背景には、その独特のビジネスモデルがあります。主にオンラインプラットフォームを通じて、150カ国以上にわたる広範囲な市場にアプローチ。価格の手頃さとトレンドに敏感な商品展開が、特に価値を求める若年層の顧客を惹きつけています。

また、Sheinはアイルランド、ブラジル、南中国に主要オペレーションセンターを置き、これらの地域から世界各地への迅速な配送を実現しています。この戦略的な展開は、Sheinがグローバルなファストファッション業界でリードする要因となっており、同社のアプローチは、持続可能なファッションの新しい標準を模索する動きとしても注目されています。

Sheinの挑戦は、従来のファッション産業にとって大きな転換点を迎える可能性を示唆しています。そのデジタルファーストの戦略は、新しい消費者基盤の獲得と、持続可能な成長のモデルを示すものであり、今後もその動向から目が離せません。

AliExpressの国際販売戦略

AliExpressの国際的な販売戦略は、主にその巨大な製品範囲とアクセシビリティに焦点を当てています。2022年には、ダブル11セール(光棍節)の最初の4時間で、全世界に対して30,000点の女性用保温衣類が販売され、その他の商品も前年比で10倍以上の販売がありました 。特にヨーロッパや南アメリカ、中東への地域拡張を進めており、これらの地域でのブランド認知と市場シェアを高めることを目指しています。

また、AliExpressは2020年の時点で、スペインの市場だけで約310億ドルの売り上げを記録しており、価格に敏感な消費者を中心に人気を博しています。全体として、AliExpressは200ヶ国以上のユーザーを持ち、アクティブバイヤー数は1億5000万人を超えています。

AliExpressの戦略には、Cainiaoという物流子会社の展開も含まれており、特にブラジルでの物流ネットワーク拡張を進めています。これにより、地元での配送とカスタムクリアランスの効率を高め、国際市場での販売を加速させています。

これらの取り組みから、AliExpressは国際市場での存在感を強め、そのシェアと売上を拡大しています。

Temuの国際販売戦略

Temuは、Pinduoduoが所有する中国のeコマースプラットフォームで、2022年にアメリカ市場へ進出しました。このプラットフォームは、極めて低価格で幅広い商品を提供しており、特に価格に敏感な消費者に人気です。Temuは社会的商取引とデジタルマーケティングを重視し、ゲーミフィケーションを取り入れたショッピング体験を通じて顧客の関与を高めています。これらの戦略により、2023年の最初の9ヶ月で約218億ドルの売り上げを達成しました 

Temuは、商品の多様性においても競合他社と差別化を図っており、100以上の商品カテゴリーを持つグローバルなマーケットプレイスとして機能しています。この広範な商品ラインナップは、ユーザーにさまざまな選択肢を提供し、特にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの主要市場で人気を博しています。2023年には、特にアメリカ市場で8200万人以上のアクティブユーザーを持ち、同市場で最も人気のあるショッピングアプリとなりました。

従来型ビジネスモデル、つまり商品を安価で仕入れてオンラインで転売する戦略は、長らく小規模な販売業者にとって有利なビジネス機会を提供してきましたが、中国の大手ECサイトが国際市場での存在感を強めるにつれて、このビジネスモデルに変化が生じています。

特に、AliExpress、Temu、そしてSheinのようなプラットフォームは、直接消費者に向けて広範囲にわたる商品を低価格で提供することで知られています。これらのプラットフォームは、従来の中間業者やせどり業者が利益を得る余地を狭め、エンドユーザーに直接価格の利点を提供しています。

今後、せどりビジネスモデルはさらにプレッシャーを受けることが予想されます。これは、中国のECプラットフォームがその供給チェーンを強化し、国際的な物流ネットワークを拡大することにより、さらに低価格での提供が可能となるからです。また、これらのプラットフォームはマーケティングとブランド戦略にも力を入れており、世界的な知名度と信頼性を築きつつあります。

このように、今後小売業界における世界の情勢は価格競争だけでなく、配送スピードやサービスの質においても大手プラットフォームに対抗しなければならない状況にあります。中国のECプラットフォームの拡大は、小規模転売業者が新しい戦略を模索する契機となるかもしれません。

また同時に供給チェーンの効率化、生産コストの削減、または高付加価値商品の提供など、様々な戦略を検討する必要があるでしょう。さらに、ニッチ市場の開拓やオリジナルブランドの育成に力を入れることで、競争力を維持し、市場での独自の地位を確立することが求められます。今後は、これら中国大手通販企業との明確な差別化を図って行くことが成功の鍵となってくると思われます。

関連記事

  1. 日本の占い市場は1兆円超え 世界の占い市場規模 Youtubeでのスピリチュアル系動画の再生回数が伸びている理由

  2. 中国 電子書籍業界ユーザー 5億人超え Tencentテンセントがシェアを占める

  3. 世界各国別 インスタグラム Instagram 広告収益単価ランキング トップ20

  4. 世界各国の経済指数 リスト一覧表

  5. 世界のマーケットプレイス Eコマース市場規模 売り上げランキング

  6. 世界GDP 国別ランキング

  7. 韓国インターネット サイトアクセス数ランキング 2024年

  8. 外国人投資家による日本の不動産購入 国別ランキング 超円安 インバウンド

  9. 超円安の中で海外売り上げ比率が非常に高く外貨収益が多い日本企業 35社

Japanese