世界的シェアを持つアパレルブランドSHEINのEコマース戦略

Shienとは ?

シェインは、SEOの専門家である中国人起業家クリス・ユーによって2008年に創設された。中国のファストファッション小売企業Sheinは、最新の資金調達ラウンドで1,000億ドルの評価額を獲得し、今年正式に世界最大のファッション小売企業となった。これは、今週まで世界トップ2の衣料品小売企業であったZARAとH&Mの合計を上回る規模である。

クリス・ユーは当初、Sheinの3人のトップ・エグゼクティブとともにオンラインでウェディングドレス・ビジネスを立ち上げていたが、もともとはウェディングドレスを購入するためのポータルサイトで「SheInside」と名付けられていたこのブランドは2010年代初頭に一般的なレディースウェアに、2010年代半ばにはあらゆるファッションに手を広げた。その後、オンラインで見つけやすいシンプルな名前が必要だと考え、2015年にSheinにブランド名を変更した。ビジネスが本格的に軌道に乗り始めたのはこの頃で、Sheinは世界で最も急成長しているファッション小売業者として頭角を現した。

Shienの世界的市場規模

SHEINはすでに米国のファストファッション市場で最大のシェア(28%)を占めている。2022年4月、SHEINの評価額はなんと1,000億ドル。これは民間企業としてはスペースXとバイトダンスに次いで3番目に高い評価額である。SHEINの評価額は、ファストファッションのライバルであるH&MとZARAの合計額を凌駕しており、5年前には基本的に米国の消費者に知られていなかったブランドとしては、驚くべき偉業である。現在シェインは現在150カ国以上で販売しており、最大の市場は米国で、売上の35~40%を占めている。英国だけでも、1日に3万点、年間1,000万点以上の商品を販売していると推定され、他のどのファッション小売業者よりも多くの広告費を費やしている。シェインは中国を拠点とする多くのメーカーとは異なり、国際市場のみを視野に入れており、中国国内での販売は行っていない。初期の成長は主にインドとサウジアラビアからもたらされたが、過去2年間はブラジル、メキシコ、米国が最大の市場となっている。また過去5年間、アメリカやヨーロッパ市場に進出したことで、シャインの評価額は急上昇した。

Sheinの製品化プロセス

シェインは、中国・広州の製造拠点にいる小規模なサプライヤーを中心に生産活動を行っておりスタッフがアルゴリズムを使って最新のファッション・トレンドを確立し、強力なデザイン・チームがそれを基に、毎日数千アイテムという驚異的な数の新商品を生み出している。毎週何千もの新商品を生産し、平均して1日に数千の新商品が追加される。

このプロセスはシェインのソフトウェアに統合されており、注文は自動的に各サプライヤーに分配される。これにより、シェインはトレンドに異例の早さで対応し、わずか1週間で製品を作り、流通させることができる。Sheinは、中国広州にある何百もの衣料品メーカーと提携し、速いスピードで商品を製造している。独自の発注・加工システムを持っており、メーカーはそれを使って素早く製品化して行く。

シェインの成功は、ファスト・ファッション・モデルを加速させたことにあり、各アイテムを何千着も注文するのではなく、100着以下のごく少量生産を行っている。そして、リアルタイムの情報を使って各商品の売れ行きを確認し、人気のあるアイテムがあれば迅速に追加発注し、売れない商品は中止するビジネスモデルで勝ち続けている。

SHEINは、売れないスタイルの製造に無駄なコストをかけないよう、少量生産で新アイテムをテストしている。また大量生産する価値があるかどうかを判断するため、新商品を数百着しか作らないこともある。平均して、SHEINは毎日5〜6000以上の新しいスタイルをウェブサイトに追加している。これが積み重なる。12ヶ月間で、SHEINは100〜130万アイテムをウェブサイトに追加した。

ソシアルメディアを活用したビジネス戦略

シェインは30代以上には比較的知られていないかもしれないが、Z世代の買い物客にとっては、街で最も話題に上るファッショナブルな存在なのだ。ソーシャルメディアは、シェインの成功の核となっておりフェイスブック、インスタグラム、ピンタレスト、Tiktokを直感的に使って商品を宣伝し、何百人ものインフルエンサーと提携して考え抜かれた販促キャンペーンを行っている。多くの中国系アプリと同様、Sheinは顧客の購買意欲をそそるプロモーションやオファーで溢れている。現在フェイスブックで2,600万人以上、インスタグラムで2,400万人以上の支持を得ており、インフルエンサーがシェインの配達物を開梱し、服を試着してカメラで撮影した感想を共有する「Shein Hauls」は、TiktokやYouTubeで数十億回再生されるバイラルヒットとなっている。SHEINは、中堅のソーシャルメディア・インフルエンサーを通じてブランドを宣伝することに重点を置いている。ブランドの認知度と宣伝効果を高めるため、選ばれたインフルエンサーによってインスタグラム、TikTok、YouTubeで披露してもらっている。このマーケティング戦術により、SHEINはソーシャルメディアで最も話題のブランドとなった。

また、「キャンパス・アンバサダー」を活用し、大学内で買い物客を募り、好意的な顧客レビューに対して報酬を提供している。SHEINの商品とマーケティング・アプローチは、若い消費者の間で功を奏しているようで、その多くは、手頃な価格で無限のスタイルがあることを評価している。ただし問題点を挙げるとすると、翌日配達が標準となった現在、中国から直接発送されるため、シェインの標準的な配達日数は12~14日である。また一部で品質に対するサイズ感や素材感の問題点等もある為今後の改善に期待したい。

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